働く人へのメンタル・エクササイズを提供する心の体操協会

心と身体のお話

心の叫びと体の痛みの不可解な関係

img08”腰痛2800万人 8割原因不明…心の悲鳴かも゛

これは、今から約3年前の2013年3月24日付の朝日新聞の記事の大見出しです。

*腰痛2800万人:日本人の約4人に1人。 これを聞くと、自分の身の周りの腰痛の人を鑑みて、さもありなん、という感覚。 でも、これってやっぱり多いな~、とは思う。

*8割原因不明:これには多くの人が驚いたようです。 現代医学でこれだけCTやMRIなどの体内透視検査技術が進んでも、腰痛の8割以上は原因がわからない、と言うことになります。 腰の椎間板に異常が見られないし、他にも痛みの所見が見られないにもかかわらず、腰痛に悲鳴をあげている人の多いこと。

*心の悲鳴かも:

この話題で大変参考になるのは、今から20年ほど前に、”椅子が怖い”という本を書いた作家の夏樹静子さんの、壮絶腰痛闘病記です。

夏樹さんは何十という医師、治療家を渡り歩いて、東洋医学、西洋医学、考えつくありとあらゆる治療を受けた。

水泳療法?まったく治らない。

精神神経科?精神安定剤を処方。 治らない。

九州大学心療内科受診:2時間3回のカウンセリング受診。?帰りのタクシーの後部座席で腰が激痛に唸る。

有名な東京都内のカイロプラクテイック?3カ月通ってみたものの、これもダメ。

硬膜外ブロック注射?これもダメ。

飛び降り自殺を考えるほど苦しんで3年。 ついに夏樹さんの”Moment of Truth”(真実との遭遇)がやってきます。

夫の知り合いから紹介されて受診した、東京の心療内科医の平木英人先生との出会いです。平木医師は腰の痛みが出始めた頃の、夏樹さんの仕事の状態や生活ぶりをじっくり聞きだします。 そして、原因は心身症にあると言い切ります。

「あなたの大部分を占めていた作家夏樹静子の存在に病気の大もとの原因があると思います」
夏樹さんは答える、「元気になれるなら夏樹を捨ててもいいくらいです」
平木医師は即座に言います。「元気になれるなら、といった取引はありえない。無条件で夏樹をどうするか、自分なりの結論が出たら私に話して下さい」

そんな話をされてもやはり激痛は去らない日々が続きます。 本人は、自分では結論が出せないでいる。平木医師はさらに迫ります。
「では私の結論を言います。夏樹静子を捨てなさい。夏樹静子の葬式を出しなさい なぜなら、あなたの腰痛は“夏樹静子”という存在にまつわる潜在意識が勝手につくりだした“幻の病気”に他ならないのだ!」、と。

この宣告は、作家であり知識人との自負もある夏樹さんには、まったく容認できないものでした。 そういう潜在意識に原因がある、などと言う診断が、いちばんバカバカしいものだと何度も何度も、この3年間にわたって拒否しつづけたものでした。

しかし平木医師はまったく頑として譲りません。結局、根負けしたようにして夏樹さんは、言われる治療に同意し、夏樹静子との決別を決意します。 2ヶ月入院して10日間の完全絶食を行い、その間心理指導を受ける、という治療法でした。 薬は一切使われませんでした。

その入院の途中から痛みが薄らぎ始めます。 そして退院した時には、激痛が嘘のように去っていました。 これは本には登場しませんが、退院時に夏樹さんは、「先生は薬を一切使わず,私に指一本ふれずに治してくれた」、と平木医師に言ったそうです。 それから、二度と腰痛がおこらなくなっていました。

心が緊張するような状態が続くとデリケートな脳を守る為に、体のどこかが痛むように勘違いさせて(器質的にはどこも痛みの原因はなくて)、そちらに注意を逸らせる体の防御システムが発現するのかも知れません。

しからば、その脳が良かれと思ってやってくれた、確信犯的勘違いを元に戻すにはどうしたらいいのか。

原因不明と言われてしまう心因性の腰痛は、患者はたまったものではありません。 どうすればいいの!、と夏樹さんならずともうろたえます。 どういう治療が効果があるかは、人によって千差万別でしょう。 この夏樹さんの場合は、本人の記述からは、10日間の完全絶食が効きました。

img09これも本では詳しく触れられていませんが、夏樹さんが受けた入院治療は、「東北大学方式絶食療法」というものでした。 これは、東北大学で心療内科を創設した鈴木仁一助教授という医師が、今から44年前に発表した治療法です。 すでに鬼籍に入られていらっしゃいますが、この鈴木医師の書かれた一般向けの「心療内科の聴診器」という本をがあります。

それによると、10日間絶食して、5日かけて復食するとあります。 ちょっと詳細な説明をかいつまんで引用すると、

『10日間絶食し、ケトン体栄養となって、βヒドロキシ酪酸が増加し、前頭部α波が増大し、陽性情動が起こる。この時期に心理療法を併用することによって、持続的認知行動変容に導く。 内分泌系、自律神経系、免疫系、認知心理機能に、始めは強いゆさぶりストレスを加え、その後に正常なホメオスターシスを再構築する。』

この治療法、医療行為として認められて、健康保険も効くようです。 断食と言わずして、絶食と言うところもポイントです。 日本でも、医学的に断食の医療としての効果は認められていないとかで、絶食療法と言うことになるそうです。 最近は、不食と言ってる人達もいます。

絶食か不食か断食かの表現はさておき、要は体に全く栄養を入れないでブドウ糖が枯渇した状態を作ってやると、脂肪を分解して肝細胞のミトコンドリアでケトン体という物質が作られ、それが脳への栄養源にモードチェンジします。平たく言えば、この非常事態モードに体が切り替わると、身体の中で火事場の馬鹿力的なことが起こってくる、というわけです。

この状態になると、心理的なアプローチの効きも良くなるであろうことは、想像できる気がしてきませんか。

ここでようやく心の体操の登場です。

床にマットを敷かずとも、その場で出来る心の体操第1から入り、数種類の呼吸法にいきます。 ここまでは、椅子に座っても、または立ってやっても構いません。 この呼吸法から心の体操第2に移行すると、長く座らなくていいのです。 5分から10分なら、腰痛の人でも座れるでしょう。

正確に静坐法である心の体操第2を身につけていただけると、座ることが嬉しいことになる。 座ることが待ち遠しくなること請け合いです。

その先にあの痛みに羽が生える日がやってきます。

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